プログレッシヴ・アンダーグラウンド・メタルのめくるめく世界

記事量が膨大になったので分割独立させました

【ハードフュージョン】 SPIRAL ARCHITECT

A Sceptics Universe

A Sceptics Universe


(『A Sceptic's Universe』フル音源)'00

ノルウェーフュージョン寄りテクニカルメタルバンド。'93年頃から活動していたようですが、発表した作品はデモ('95)・フルアルバム('00)それぞれ一枚のみ。そのうち後者は、テクニカルスラッシュ〜プログレデスのシーンがある程度認知されるようになった時期のものということもあり、“プログレメタル”一般を好む人々の間でカルトな名盤として評価されています。

唯一のフルアルバム『A Sceptic's Universe』の音楽性を一言でいうなら「WATCHTOWER(2nd)+PSYCHOTIC WALTZ」。前者のフレーズ・コード感を後者の風味で装飾し、そこにCYNIC(1st)的な要素を少しふりかけたという感じです。
(ボーカルスタイルは基本的には後者そのもので、その上で前者も参考にしているように思います。)
そうした配合をノルウェー特有の“薄口だがよくこびりつく”引っ掛かり感覚で料理した仕上がりで、上記のようなバンドをはっきり連想させるわりには、しっかり独自のポジションを確立した作品になっていると思われます。一見複雑で掴み所がないようでいて良くまとまっている楽曲も興味深く、卓越した演奏表現力を良好な環境で楽しむことができます。
「小難しいことを考えずに小気味いいアンサンブルに溺れたい、だけど能天気で爽やかなのは嫌だ」というときなどに良く合う作品なのではないかと思います。

このバンドのメンバーは、現在ではむしろセッションワークで名を馳せています。ノルウェーのメタルバンドへの客演が多く、IHSAHNやSATYRICONなどの作品・ライヴに貢献。(IHSAHNの3rd『After』にはドラムスとベースが参加しています。)バンド本体は機能していないようですが、いろんな所でその卓越した演奏に触れることができます。