プログレッシヴ・アンダーグラウンド・メタルのめくるめく世界

記事量が膨大になったので分割独立させました

【プレ・テクニカル・スラッシュメタル】 MEGADETH(アメリカ)

Killing Is My Business (Rmx)

Killing Is My Business (Rmx)


(1st『Killing Is My Business』フル音源)'85

初期のMETALLICAからクビになったDave Mustainが結成したバンド。この1stは、「テクニカル・スラッシュメタル」と言われるバンド群の出現時期よりも数年早く発表された作品ですが、実質的に殆ど「テクニカルスラッシュ」そのもの、というかその理想形を示すアルバムになっています。ロックンロール的なブルース感覚をベースに少しジャズ的な捻りを加えた作編曲が見事で、その上演奏も超強力。卓越した技術を完全に“道具”として扱い、初期衝動が爆裂するさまを描ききっているのです。

リーダーMustainのギター・ボーカルは大変個性的で、長く相棒となるDavid Ellefsonのベースも強力なのですが、このアルバム(および次作2nd)ではそれ以上に他の2人が素晴らしい。後の超絶テクニカルギタリストに「MEGADETHの歴代ギタリストの中で彼のプレイが一番コピーしにくい」と言わしめたChris Poland、そして残念ながら既に故人であるドラムスGar Samuelson(1999年没)は、圧倒的な技術と個性的な音楽性を高度に両立した達人です。この2人がMustainの発する只ならぬ雰囲気に感化されたことも、このアルバムの凄まじい演奏内容に大きく貢献しているのだと思われます。METALLICAの「The Four Horsemen」を倍速で演奏した「Mechanix」などは凄まじいの一言です。

音楽的な興味深さとパンク的な勢いが完璧に融合された傑作。この系統が好きな者にとってみれば、文句なしに(2ndと並ぶ)MEGADETHの最高傑作です。